非正規社員の方が競売を回避する方法
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この記事でわかること
- 競売を回避できるかどうかは、正社員か非正規雇用かという雇用形態だけで決まるものではありません。
- 任意売却の同意を得る際に重視されるのは、個人の属性よりも不動産そのものの価値です。
- 契約終了・収入減・転職期間中など、現在の収入状況によって取るべき解決策は変わります。
- 任意売却やリースバックなど、競売を止めて負担を減らすための現実的な選択肢が存在します。
- 無理に家を残すことにとらわれず、生活保護や公的支援を含めて今後の生活再建を第一に考えることが大切です。
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派遣社員や契約社員など、非正規で働いている人から「正社員ではないので、金融機関や不動産会社に相手にされず、もう競売回避は難しいのではないか」という悲痛な声が聞かれます。
たしかに、契約打ち切りやシフトの減少などで収入が不安定な状態に陥り、住宅ローンを維持し続けるのが困難になるケースは少なくありません。裁判所からの競売通知を前に、強い劣等感や諦めの気持ちを抱いてしまうのも無理はないと言えます。
しかし、結論から言えば、競売を回避できるかどうかは「正社員か非正規か」という雇用形態の属性で決まるわけではありません。
大切なのは、現在の収入でローンを維持する道を探るのか、それとも任意売却などでいったん住まいを手放し、確実に生活を立て直す道を選ぶのかを冷静に整理することです。手遅れになる前に専門家の知識を借りて、生活再建に向けた具体的な一歩を踏み出すことです。
NHKニュース7/クローズアップ現代(NHK)/報道ステーション(テレビ朝日系)
非正規雇用(派遣・契約社員)でも住宅ローンの競売回避ができる理由
金融機関が任意売却に応じる判断基準は不動産の価値
住宅ローンを組む審査の段階では、「正社員であるか」「年収はいくらか」という個人の属性が非常に厳しく見られます。そのため、「非正規になった今の自分では、競売を取り下げてもらう交渉なんてできない」と思い込んでしまう方は多いです。
しかし、競売を回避して任意売却(同意を得て市場価格で売ること)を行う場面では、金融機関の判断基準が全く異なります。債権者が重視するのは、その家が市場でいくらで売れて、ローン残債をどれだけ多く回収できるかという不動産そのものの価値です。所有者が非正規雇用であるという事実は、任意売却の許可を得る上で不利な条件にはなりません。
リスケジュールは滞納する前に相談するのが基本
もし、まだ競売の通知が来ておらず「今後の返済が苦しい」という段階であれば、金融機関へ返済期間の延長や一定期間は利息のみを支払うリスケジュール(条件変更)を相談できる場合があります。
ただし、すでに滞納が続いて競売開始決定通知が届いている状態では、リスケジュールに応じてもらうことは極めて困難。その場合は、家を維持することよりも、競売という最悪の結末を避けて借金を減らす任意売却へ舵を切るのが現実的な選択肢となります。
住宅ローン滞納から競売に至るタイムスケジュール
住宅ローンの滞納が数ヶ月続くと、債権者が裁判所へ競売を申し立て、競売開始決定とともに不動産が差し押さえられます。その後、執行官による現況調査や売却基準価額の決定などを経て、期間入札、開札へと進んでいきます。
重要なのは、競売開始決定通知が届いたからといって、その日のうちに自宅を追い出されるわけではないということです。開札までにはおよそ半年程度の期間が残されているため、諦めずに専門家へ相談すれば、任意売却などの対策を講じる時間は十分にあります。
非正規雇用が選択できる3つの競売回避策
【任意売却】競売を取り下げ、相場に近い高値で家を売却する
任意売却は、金融機関などの債権者の同意を得たうえで、競売にかけられる前に自宅を一般の不動産市場で売却する方法です。競売よりも相場に近い高い価格で売却できる可能性が高く、その分だけ売却後に残る借金を大幅に減らすことができます。
さらに、売却代金の中から数十万円の引っ越し費用を捻出できるよう債権者と交渉できる余地もあるため、貯金がない非正規雇用の人にとってメリットの大きい選択肢と言えます。ただし、競売の開札日までに買い手を見つけて売却を成立させる必要があるため、一刻も早い行動が不可欠です。
【リースバック】売却後も今の家に家賃を払って住み続ける
リースバックは、自宅を不動産会社や投資家に売却したあと、新しい所有者と賃貸借契約を結び、家賃を支払いながらそのまま同じ家に住み続ける方法です。引っ越し費用がかからず、周囲に家を売った事実を知られずに済む点が大きなメリットとなります。
一方で、売却後の家賃設定が現在のローン返済額よりも高くなってしまうと、非正規雇用で収入が減っている状態では生活が再び破綻するおそれがあります。無理なく家賃を支払い続けられるかどうか、慎重なシミュレーションが必要です。
【親族間売買】親族の資金援助によってローンを清算する
親族間売買は、親や兄弟姉妹などの親族に自宅を買い取ってもらい、その売却代金で住宅ローンを完済する方法です。買い手となる親族の資金力やローン審査が重要になるため、元の所有者が非正規雇用であることは全く問題になりません。
ただし、親族間での不動産売買は金融機関からの住宅ローン融資が下りにくいというハードルがあります。また、相場より著しく安い価格で売買すると、税務署から贈与とみなされて多額の贈与税が課せられる危険があるため、適正価格での取引と専門家のサポートが必須となります。
競売取り下げ申し立ての手続きと注意点
競売取り下げに必要な条件
競売を取り下げるには、競売を申し立てた債権者(金融機関や保証会社)の同意が絶対条件となります。任意売却を行う場合、売却代金によって債権をどの程度回収できるのか(配分表)を債権者に提示し、納得してもらうことで初めて競売の取り下げに応じてもらえます。
なお、競売の手続きが終盤まで進んでおり、すでに入札した人(買受申出人)がいる場合は、その人の同意まで必要になってしまうため、取り下げのハードルが高くなります。
裁判所の開札期日ギリギリでも間に合うのか?
競売の取り下げは、法律上は開札期日の前日まで可能です。しかし、任意売却を成立させるには買い手を探す、債権者と売却価格の交渉をする、売買契約を結んで決済(代金の支払い)を行う、という実務的なプロセスが発生します。
開札の数日前に専門家へ駆け込んでも、物理的に売却手続きを終わらせることは現実的に難しいと言えます。時間が経つほど選択肢は消滅していくため、競売開始決定の通知を受け取ったら、1日でも早く任意売却に特化した専門業者へ相談してください。
税金の差し押さえが重なっている場合の役所協議
住宅ローンだけでなく、固定資産税や住民税などの税金も滞納し、役所から自宅を差し押さえられている場合は注意が必要です。税金の差し押さえを解除してもらわなければ、任意売却で家を他人に売ることはできません。
この場合、売却代金の中から滞納税を全額、あるいは一部納付することを条件に解除を認めてもらうなど、役所の担当窓口との粘り強い交渉が必要になります。こうした複雑な調整も、専門家のサポートがあればスムーズに進めることが可能です。
任意売却した後の残債と新生活(部屋探し)はどうなる?
家を売っても残ったローンは収入に応じた分割返済に
任意売却で家を高く売っても、売却代金だけでローンを全額完済できず借金が残るケースは多々あります。しかし、残った数百万の借金を一括で返せと迫られるわけではありません。
金融機関や債権回収会社との協議により、現在の収入や生活状況に応じた無理のない分割返済(月に5,000円〜1万円程度)に切り替えてもらえるケースが一般的です。非正規雇用で収入が低くても、生活を破綻させない現実的な金額で合意できれば、少しずつ着実に再出発を図ることができます。
非正規雇用でも新居の賃貸アパート契約は可能?
派遣社員や契約社員などの非正規雇用であっても、新しい賃貸住宅を契約できる可能性は十分にあります。「家を失うと次に入居できる部屋がないのでは」という心配は無用です。
ただし、住宅ローンを滞納していると個人信用情報(いわゆるブラックリスト)に傷がついているため、信販系の家賃保証会社を利用する物件の審査には通りにくくなります。その場合は、信用情報を参照しない独立系の保証会社を利用できる物件を探すことで、賃貸契約を結ぶことが可能です。任意売却を依頼する不動産会社に、部屋探しまで一貫してサポートしてもらうと安心です。
収入が途絶えて返済困難な場合のセーフティネットとの連携
病気や雇い止めなどで完全に収入が途絶え、残債の少額返済や日々の生活費すら捻出できなくなった場合は、公的な支援制度や法的な債務整理に頼ることも正しい選択です。
状況に応じて、生活保護の受給や自己破産、個人再生などが強力なセーフティネットとなります。弁護士費用の負担が難しい場合でも、一定の収入要件を満たせば「法テラス(日本司法支援センター)」の民事法律扶助制度を利用して費用の立て替えを受けることが可能です。
【属性別】非正規雇用の方が競売回避を進める際のポイント
派遣社員・契約社員:雇い止めや休職時の住宅ローン対策
派遣社員や契約社員は、契約期間の終了(雇い止め)や休職によって急激に収入が減少するリスクを抱えています。住宅ローンの返済が厳しくなると感じたら、滞納して競売にかけられる前に、早めに専門家へ相談して自宅の売却査定を行っておくことが危機管理につながります。
また、病気やケガで働けなくなった場合は、ローン契約時に加入した団体信用生命保険(団信)の特約でローンが免除される可能性がないか、保障内容を確認しておくことも重要です。
パート・アルバイト(ひとり親家庭):養育費や公的支援との兼ね合い
ひとり親世帯でパートやアルバイトとして働いている場合、ご自身の給与だけでなく、児童扶養手当などの公的支援や元配偶者から受け取る養育費なども含めて家計全体を俯瞰する必要があります。不安定な収入の中で無理をしてローンを払い続けるよりも、任意売却で住居費の負担をリセットし、公的支援を受けやすい環境へ移るほうが、子どもの教育や精神的な安定にプラスに働くケースも少なくありません。
単身者・一人暮らし:身寄りがなく相談相手がいない場合の活用窓口
一人暮らしで身近に相談できる家族や親族がいない場合、誰にも頼れず一人で競売通知を抱え込んでしまう人が目立ちます。しかし、放置すれば強制的に家を追い出され、状況は悪化する一方です。
競売回避の実績がある不動産会社や司法書士法人などの無料相談窓口を活用し、まずは現在の状況を聞いてもらう勇気を持つことが大切です。専門家が第三者の視点から、法的に守られる解決策を提示してくれます。
非正規雇用の競売回避に関するよくある質問(FAQ)
Q. 任意売却を依頼する際、手出しの費用(弁護士費用や不動産手数料)は現金で必要ですか?
A. 任意売却を進めるにあたり、所有者が手出しで数十万円の現金を事前に用意する必要は原則としてありません。不動産会社へ支払う仲介手数料や抵当権抹消にかかる司法書士費用などは、債権者の同意を得たうえで、家の売却代金の中から差し引いて精算することが認められるのが一般的です。貯金に余裕がない状態でも、まずは費用の心配をせずに手続きを進めることが可能です。
Q. 裁判所の執行官が写真撮影に来てしまいましたが、今からでも競売取り下げは間に合いますか?
A. 執行官による現況調査(自宅訪問と写真撮影)が終わった後であっても、競売を取り下げて任意売却に切り替える可能性は十分にあります。タイムリミットは開札期日の前日までですが、買い手探しなどの実務期間を考慮すると、残された時間は数ヶ月程度しかありません。手遅れになる前に、1日でも早く専門機関へ相談することをおすすめします。
Q. 任意売却をすると信用情報機関(ブラックリスト)に載り、仕事や就職に影響しますか?
A. 任意売却という不動産取引を行ったこと自体がブラックリストに載るわけではありません。ただし、任意売却に至る過程で住宅ローンを長期間滞納している事実が信用情報機関に記録されるため、向こう5〜7年程度は新たなローンを組んだり、クレジットカードを作ったりすることが難しくなります。
しかし、この信用情報が就職先の企業に漏れることはなく、一般的な仕事の採用や雇用契約に悪影響を及ぼすことはありませんのでご安心ください。
まとめ|非正規雇用でも、競売回避を検討できる余地は十分にあります
非正規雇用だからといって、競売回避という救済措置から見放されるわけではありません。任意売却において重視されるのは不動産の価値であり、雇用形態がハンデになることはないという事実を知っておくことが大切です。
ただし、収入が不安定な状態で、無理をして家を維持し続けることが必ずしも正解とは限りません。家を残すことだけにこだわるのではなく、任意売却で借金を大幅に減らし、身の丈に合った住まいへ移るほうが、結果的に生活を立て直しやすいことも多いと言えます。
任意売却、リースバック、そして場合によっては生活保護の申請など、現在の状況によって選ぶべき最善の道は変わります。「非正規だからどうせ無理だ」と諦めてしまう前に、まずは専門家へ現状を共有し、生活再建に向けた具体的なステップを踏み出してみてください。
※2026年4月1日時点
競売回避なら
NHKニュース7/クローズアップ現代/
NHK NEWS おはよう日本/
報道ステーション
生活再建を優先すべきケースもあります
競売の危機に直面すると、どうしても「なんとかして今の家を残せないか」という点に意識が集中してしまいます。
しかし、シフトの減少などで収入が下がっている状態のまま無理をして家を維持しても、日々の食費や光熱費を切り詰める苦しい生活が続き、いずれ限界を迎えてしまうケースは少なくありません。
そのような場合は、家への執着を一度手放し、任意売却で借金を整理して家賃の安いアパートへ住み替えたほうが、精神的にも経済的にも生活を立て直しやすいと言えます。
状況によっては、生活保護や公的支援制度を含めて根本的な整理を行ったほうが良い場面もあります。
「家を守ること」をゴールにするのではなく、その後の人生を無理なく笑顔で続けられるかどうかを第一に考えてみてください。